宮本武蔵 サイト篇
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兵法の道二天一流と號し數年鍛練の事初めて書物に顯さんと思ひ、時寛永二十年十月上旬の頃、九州肥後の地岩戸山
に上り、天を拜し觀音を禮し佛前に向ふ。生國播磨の武士、新免武蔵守藤原玄信、歳つもりて六十、 (五輪書・地之巻)
[資料]    石海神社 天保十五年算額          Go back 

 石海神社(兵庫県太子町宮本)には天保15年(1844)の算額がある。
 これは、蓮常寺村の吉村幾之尉門人である同村・丸尾周之輔の名があるものである。蓮常寺村は、この神社より東約1.5キロの集落であり、現在も地名は残り、太子町蓮常寺である。
 我々がこの算額によって知るのは、この村に吉村という数学教師が居て、彼には門人があったというから和算の文化が存在したということであり、そして弟子の丸尾がこのレベルの数学問題をこなしていたというわけである。
 この算額の幾何学問題はなかなか優れたものである。シンプルでスマートな方程式を得るからである。
 この算額について、以下により解を示す報告を得たのでそれを紹介してみたい。
  [資料] 近畿数学史学会会誌「和算」第95号(2002年)
         藤井康生「兵庫県太子町石海神社天保15年算額問題」

 この資料に関し、その所在のみならず、コピーまでご提供いただいた、小寺裕氏に謝意を表したい。 

(播磨武蔵研究会)

今有如圖平円経内圭形及甲乙丙円載六個容
只言乙丙円差三寸外円問幾何
   答曰 外円二拾四寸
   術曰 置只言数八之得外円経
  蓮常寺村 吉村幾之尉門人
    同村  丸尾周之輔□ (花押)
  天保十五年甲辰六月吉日

 【現代語訳】
 今、図のように、円内に圭形(二等辺三角形)と甲、乙(4個)、丙の6個の円を容れたものがある。 乙円と丙円の直径の差を只言(3)とするとき、外接円の直径を求めよ。
    答 外接円の直径は24。
    術 外接円の直径は、只言の8倍である。


 【解答】
 外接円、乙円、丙円の直径を、外、乙、丙とする。また、二等辺三角形の二等辺をa、底辺をb、 とする。
本問は、外、乙、丙のいずれか一つが与えられれば、残りは求められる。
また、外=8(乙−丙)の綺麗な関係がある、面白い問題である。
『算法天生法指南』49番の公式ムより、次の@、Aが成り立つ。
    4外乙−4乙2−a2=0    @
    4外丙−4丙2−b2=0     A
また、二等辺三角形の頂点から垂線を下ろしてできる直角三魚形より、
    a2=(外−丙)2+(b/2)2    B
@、A、B、式より、a、bを消去すると、(『算法天生法指南』58番と同様に次式が成り立つ)
    外2−4外乙+4乙2 −外丙=0
    ∴    (外−2乙)2 =外丙     C
また、別に、『算法天生法指南』3番の公式ハにより、次のD式が成り立つ。
    乙=(外−丙)+b/2−a       D
A、D式より、bを消去すると、
    −a2+2a外−2a乙−2a丙−外2
      +2外乙+3外丙−乙2−2乙丙−2丙2=0    E
@、E式より、aを消去すると、
    外4−12外3乙−6外3丙+46外22 +24外2乙丙
      +13外22−60外乙3−38外乙2丙 −20外乙丙2
      −12外丙3+25乙4+20乙3丙+8乙22
      +8乙丙3+4丙4=0       F
次に、C、F式より、丙を消去すると、
    −144外5+1153外4乙−3440外32
      +4992外23−3584外乙4+1024乙5 =0     G
因数分解して、
    (−16外3+57外2乙−72外乙2+32乙2
      ×(9外2−40外乙+32乙2)=0
ここで、    −16外3+57外2乙−72外乙2+32乙3 =0  には、
題意に適した  0<乙<外/2 の乙はない。
よって、  9外2−40外乙+32乙2=0      H
H−C×8  すると、
       外2−8外乙+8外丙=0
       外{外−8(乙−丙)}=0
    ∴  外=8(乙−丙)=8只言
よって、術が成り立つ事がわかる。

  参考文献:『算法天生法指南(全5巻)問題の解説』藤井康生著 大阪教育図書 (1997)



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