宮本武蔵 資料篇
関連史料・文献テクストと解題・評注
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略伝年譜
出身地は
武蔵とは
資 料 篇
サイト篇
坐談武蔵
生國播磨の武士、新免武藏守藤原玄信、年つもりて六十。我若年の昔より兵法の道に心をかけ、十三歳にして始て勝負をす。(中略)われ三十を越て跡をおもひミるに、兵法至極してかつにハあらず。をのづから道の器用ありて天理をはなれざる故か、又ハ、他流の兵法不足なる所にや。其後、猶も深き道理を得んと、朝鍛夕錬して見れバ、をのづから兵法の道に逢事、我五十歳の比也。それより以來は尋入べき道なくして光陰をおくる。 (五輪書・地之巻)
宮 本 武 蔵 伝 記 集    目  次
 ここは「宮本武蔵伝記集」のサイトである。つまり、宮本武蔵の「伝記」なるものを紹介しようというわけである。それも、江戸時代、十八世紀に書かれた武蔵伝記である。
 今日、武蔵に関する評伝はますます大量に生産されている。いづれも怪しげな憶断に基づく新作武蔵伝であって、まさにフィクション、小説と変りはない。世間に本家元祖の争いが絶えないように、武蔵伝記も正統争いをしてきた。後世になればなるほど、その派生体が無数に発生するありさまである。
 しかし、そんな状況であればこそ、オリジナルに遡って、かつて江戸時代にどんな武蔵伝記が書かれていたか、そして、それがどれほど信憑性のあるものか、史料批判も含めて、知っておく必要があろう。
 ご存知の方もあろうが、宮本武蔵の伝記は、他の兵法者・武芸者に比して数が多い。しかも、ポップカルチャーの中で虚構の武蔵が英雄と化す十八世紀の江戸時代に書かれているのである。
 ということは、世間流行の虚像に対抗して、武蔵の実像を提示するという役割を、これらの武蔵伝記は負っていた。その点ですでに今日の武蔵論の状況は先取りされていたのである。
 それゆえ、今日改めて、当時の武蔵伝記が読まれる必要があろう。ところが、現在、断片引用されるばかりで、件の伝記を通読せしめる資料がない。したがって、多くの要望に答えて、ここでは以下の武蔵伝の基本文献四点を「宮本武蔵伝記集」として編むことにした。
 ここでは、本サイトの通例にしたがい、基本的に当該文献のテクスト全文を提示し、それに現代語訳を付し、読者の便宜を図った。さらにそれぞれの記事に評註を付し、武蔵伝記研究の成果をここに公表する。むろん、こうした読解研究は、武蔵研究史上前例のない試みである。したがって、そうした研究動向の先端における、いわば未開の地をひらくスリリングなシーンを覗見するという別の愉しみも、読者は味わえることであろう。
(武蔵伝記研究会)

武蔵提五尺木刀像

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 立花峯均
 丹治峯均筆記 

宮本武蔵の伝記「兵法大祖武州玄信公傳來」が本書の本篇である。筑前二天流第五代・立花專太夫峯均による享保十二年(1727)の述作。『本朝武芸小伝』などの剣道史文書中略伝を除けば、現在までのところ武蔵単独伝記群のなかでは最早期のもの。本篇武蔵伝記に加えて、同流祖師三人の事跡を順次記し(追加)、さらに著者峯均が自身を語る(自記)。

 橋津正脩他
 武 公 伝 

     【New!】

十八世紀中期の肥後系武蔵伝記。豊田正剛の子・橋津正脩が父の聞書遺稿を発見し、それに触発されて書きはじめた。本書は下記『二天記』の種本であり、肥後系武蔵伝記の前期形態を示す書。本書成立を宝暦五年(1755)とするのが近年の通説だが、実は未完成の書。しかも『二天記』作者・景英よる改訂増補も随所にみられる。研究史上初の『武公伝』読解研究公開。

 豊田景英
 二 天 記 
     【準備中】

豊田正剛の孫・景英が書いた肥後系武蔵伝記。未完成に終った父の遺稿『武公伝』を景英が改訂増補していたが、これを断念、新たに書き下ろした一書がこの『二天記』。安永五年(1776)の序・奥書あり。『武公伝』にはない文書が登場したり改竄もみられ、肥後の伝説の変質と増殖の軌跡を示す。明治末以来、近年まで、一般に最も信仰され依拠された武蔵伝記。

 丹羽信英
 兵法先師伝記 
     【準備中】

筑前二天流七代(立花峰均の孫弟子)丹羽五兵衛信英による天明二年(1782)の著作。信英は福岡黒田家譜代の家臣、だが故あって出奔して浪人、諸国漂泊の後、越後に寄寓して、二天流の道統を同地に遺した。本書はその越後で書かれた。上掲『丹治峯均筆記』とは記事に異同あり、また独自の伝説記事もある。肥後系『二天記』とほぼ同時期の後期武蔵伝記。


 参考資料
 峯均筆記・先師伝記対照表 
     【準備中】

研究用参考資料。上記筑前系武蔵伝記『丹治峯均筆記』の記事項目と、『兵法先師伝記』のそれを、一覧表にして、比較対照しうるようにした。これにより両文書の異同を確認できる。

 参考資料
 武公伝・二天記対照表 
     【準備中】

研究用参考資料。上記肥後系武蔵伝記『武公伝』の記事項目と、『二天記』のそれを、一覧表にして、比較対照しうるようにした。これにより両文書の異同を確認できる。



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